【兵庫運河の水辺の再生から未来の学びへ】
水辺の再生から未来の学びへ
~兵庫運河を活かした地域ぐるみの環境教育とまちづくり~
「兵庫運河は、海のゆりかごとして、今あらためて命を育み始めています。」
2025年6月9日の神戸市会本会議。私は、兵庫運河の環境的価値の再発見と、その可能性を最大限に引き出すための具体的な施策について、市に問いかけました。
兵庫運河は明治期に整備され、神戸港の物流を支えた歴史ある土木インフラです。現在ではその役割を終えつつありますが、近年、地域の皆様や漁業者の手によって水質改善が進められ、再び多様な生き物が生息する“命のゆりかご”として息を吹き返しつつあります。
私はこの再生の流れを、「地域の環境教育の場」「次世代の学びの場」としてさらに広げていく必要があると訴えました。現在、地域の小学校などでは、環境学習の一環として兵庫運河を訪れる機会が設けられていますが、これを単なる地域学習にとどめるべきではありません。兵庫運河は、生態系の再生プロセスを間近に観察できる貴重なフィールドであり、全国的にも注目される研究・教育拠点となり得るポテンシャルを持っています。
その実現のために重要なのが、「環境教育を担う指導者の育成」です。私は、これまで現場で運河再生活動に関わってきた地域の方々の知見を活かしながら、専門的な視点も持ち合わせた “現場を知る指導者”の育成と招致を進めるべきだと提案しました。指導者が集まり、継続的な学びの循環が生まれれば、地域の活動はさらに豊かに広がっていきます。
また、この動きを持続可能なものとするには、企業と連携した支援の仕組みづくりが欠かせません。たとえば、ブルーカーボンの仕組みに基づく「Jブルークレジット」や、環境省が推進する「自然共生サイト」の認定に基づく企業向け証明の発行など、環境価値を“見える化”することで、企業からの資金提供だけでなく、人的支援・物的支援・イベント支援といった多様な協力を得る道が開けます。
私は神戸市に対して、こうした企業との橋渡しを積極的に担い、支援の選択肢を整理・明確化して提示するよう求めました。市の側が“つなぎ手”となることで、地域団体と企業のマッチングが加速し、より広がりのある活動が展開できると確信しています。
来年4月には、兵庫運河に環境学習施設の整備が予定されています。この施設を単なる学習空間にとどめず、地域・企業・行政・教育機関が連携する「学びと交流の場」として育てていくことが、今後の神戸にとって大きな財産になるでしょう。ゆくゆくは、他都市の修学旅行の受け入れ先としても注目されるような施設を目指し、国内外の多くの方々に兵庫運河を訪れていただけるような環境を整えていきたいと考えています。
兵庫運河の水辺再生は、自然を守るだけの活動ではありません。
それは、地域の子どもたちが自然とふれあい、命の循環を学ぶ場所であり、企業と地域が手を取り合って未来を創る舞台でもあります。
兵庫区から、環境と学びの新たなモデルを。
この水辺から、まちの未来を育てていきます。